【Claude × 医師採用】構造化面接スキルが完成。医師採用実務経験18年の知見を、AIが再現する時代へ

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医師採用の現場には、ずっと宿題として残ってきた問題があります。

それは、「面接ノウハウの属人化」です。

「あの院長は人を見る目がある」「あの採用担当の質問は鋭い」——こういう個人技に頼り続けるかぎり、組織としての採用力はいつまでも安定しません。私自身、医師採用家として全国の医療機関をご支援するなかで、この壁に何度もぶつかってきました。

今回、その壁を越えるための仕掛けとして、医師採用家としての構造化面接の作法を、Claudeのスキルとして体系化しました。

医師採用実務経験18年・延べ2,000人超の医師面接で磨いてきたものを、ひとつのスキルに組み直す。今日はその全体像と、これが医師採用の現場をどう変えていくのかを書きます。

医師採用の現場で、ずっと未解決だった3つの問題

なぜ「属人化」が起きるのか。

それは、医師採用の現場に3つの構造的な問題が同時発生しているからです。

1つ目は、面接ノウハウそのものの属人化です。ベテランの院長が「あの先生、たぶん3年もたない」と一言で見抜く。その精度は高い。しかし何を根拠にそう判断したのかを、本人も言語化できない。だから組織として継承できないのです。

2つ目は、人材紹介エージェントの「口説き偏重戦略」への依存です。「ぜひ来てください、なんでも用意します」——この甘い言葉で採用された医師は、入職後にリアリティショックを起こして早期に離職します。エージェントにとっては成約手数料が確保できる「成功事例」かもしれません。しかし、病院にとっては再採用コストと既存スタッフへの悪影響を招く「失敗事例」です。

3つ目は、面接記録と判定根拠の言語化不足です。経営陣が「採用すべきか、見送るべきか」を判断する材料が、面接官の主観的な印象に依存している。これでは判断の再現性も検証もできません。

実は、私自身、病院で医師採用を担当していた頃は、これらを言語化していませんでした。

「あの先生、ちょっと違和感がある」と直感で判断する。判断は外れない。でもなぜそう感じたのかは、自分でも説明できなかった。当時はそれで困らなかった。自分が動けば、結果が出るからです。

しかし、独立して医師採用家として全国の病院をご支援する立場になって、状況は一変しました。院長や採用担当者にも同じ判断ができるようになっていただかなければ、コンサルティングは成り立たない——ここで初めて、自分の中の暗黙知を「他人にも使える言葉」に変える必要に迫られました。

属人化を生んでいた当事者が、属人化を解消する側に回る。そのために最初に取り組んだのが、自分自身の頭の中の言語化でした。

私はこの3つを、4Pフレームワーク(Philosophy/Profession/People/Privilege)、8軸スコアリング、人財・人在・人罪・人済の4類型、失敗Case 1〜4のカタログ——という形で言語化することができました。

ただ、これらを「他の人にも使える形」にはできていませんでした。私が同席する面接は精度が出る。でも私が同席しない面接では、また属人化に戻ってしまう。これがずっと宿題でした。

構造化面接Claudeスキル——7つのモードという「箱」

その宿題を解くために組み上げたのが、構造化面接Claudeスキルです。

このスキルは、医師採用の各フェーズに対応する7つのモードで動きます。

  • モードA:在籍医師ヒアリング(定着・離職防止・評価を目的とした診断)
  • モードB:採用候補者カジュアル面談シート(事務単独版/複数面接官版の2系統)
  • モードC:正式面接シート(カジュアル結果反映版)
  • モードD:振り返りレポート(不採用推奨型)
  • モードE:振り返りレポート(意思決定支援型・条件付き採用検討)
  • モードF:正式面接報告書(経営陣共有用)
  • モードG:エージェント注意喚起文書(口説き偏重戦略への対抗)

文字で並べると味気ないですが、それぞれに18年分のエピソードが詰まっています。

特に重要なのがモードBモードGです。

モードBのカジュアル面談シートには、面接官構成に応じて2つのサブモードを用意しました。事務職単独で面接する場合の「素人のふり戦略」「現場の代弁戦略」「経営視点の堅持戦略」の3戦略型シート。複数面接官で実施する場合の「質問主体/補佐/オブザーバー」の三役分担型シート。これは、現場ごとの体制差を吸収するための工夫です。

モードGのエージェント注意喚起文書は、紹介会社の「口説き偏重戦略」が病院側の長期利益と相反する構造を可視化し、「歓迎と見極めの両立」——雰囲気はウェルカム要素を維持しつつ、内容は構造化面接を貫徹する折衷案を、面接官の内部資料として提供します。

医師採用の現場で何度も泣かされてきた失敗パターンを、ひとつずつ「これは失敗Case 2の典型」「これはCase 4の罠」とラベル化して、スキルに組み込みました。

なぜ「ワークショップ完了済み」を必須にしたのか

このスキル、誰でもすぐに使えるものではありません。

実装上、ひとつだけ厳しい前提条件をつけています。

「弊社とのクライアントワークショップが完了済みであること」

具体的には、以下の4つが言語化されていることが必要です。

  • 欲しい医師像(4Pフレームワークでの定義)
  • 自院の構造的強み(採用ブランディングワークショップで抽出済み)
  • 採用評価基準(必須・歓迎・除外の3分類)
  • 面接運用方針(誰が、どの役割で参加するか)

なぜここにこだわるのか。

それは、「よい医師が欲しい」という曖昧な願望が、ミスマッチの最大の温床になるからです。言語化がされていない状態で構造化面接シートを動かしても、評価軸が定まらず、結局のところ面接官の主観で合否が決まってしまう。

これは18年間、痛いほど見てきた光景です。

だからこそ、スキル発動の前に、必ず採用ブランディングワークショップで、貴院の「欲しい医師の言葉」を作る作業を行います。ここを抜かすと、私が組んだ構造化面接の体系は機能しないのです。

逆に言えば、この前提さえ整っていれば、面接シートも、振り返りレポートも、正式面接報告書も、エージェント対策メモも、必要なときに必要な品質で引き出せます。仕組みとして動き始める瞬間です。

「同じ質問を繰り返さない」——既知情報の継承

もうひとつ、地味ですが実務上きわめて重要な工夫があります。

カジュアル面談から正式面接へと進むとき、カジュアルで確認済みの話を、正式面接で繰り返さない——これを構造として組み込みました。

「先日伺った退職理由の続きを、もう少し詳しくお聞かせいただけますか」と切り出す。これだけで、候補者の信頼感はまったく違います。

逆に「もう一度、退職理由を教えてください」と切り出すと、候補者は内心こう思います。

「前回話したのに、聞いてなかったのか」

これだけで、せっかく積み上げた候補者との関係が崩れます。

このスキルでは、カジュアル面談シートを正式面接シートに「結果反映」する機能を組み込みました。基本情報を二度繰り返すムダがなくなり、本面接でしか確認できない深掘り領域に時間を集中投下できる——たったこれだけのことですが、面接の中身は大きく変わります。

半年の開発を経て、現場で動かしてみた

このスキル、突然できあがったわけではありません。

2025年11月からテストクライアントを中心にGeminiで開発を始め、2026年4月以降はClaudeへの移植を検証してきたものです。半年以上かけて、18年分の医師面接ノウハウをAI上で動かせる形に組み直してきました。今回、その完全移植版がようやく形になりました。

完成した翌日、ちょうどあるクライアントで医師面接が予定されていました。

事務長から「明日の面接、何を聞けばいいでしょうか」と前日に相談を受け、完成したばかりのClaudeスキルに「このクライアントのカジュアル面談シートを設計して」と頼んでみました。

構造化面接Claudeスキルがカジュアル面談シート設計の指示を受け、素材抽出を進めている画面

スキルは、これまでに私、院長、事務長らで言語化してきた「欲しい医師像」「採用評価基準」「面接運用方針」をNotionと過去のチャット履歴から読み取り、それに沿った構造化面接シートを生成しました。

院長にお見せして、現場で使っていただいた。手応えはありました

ここからが本当の検証です。来週には、ある急性期病院で対面の医師面接が2件控えています。複数面接官による役割分担型シートを、現場で使ってみる。院長・診療部長・採用担当・コンサル、それぞれの役割分担が、紙の上だけでなく実際の面接で機能するか——これが次の検証ポイントです。

私が同席しなくても、同等の質問力・推察力が出るようになった

これまで私の支援の現場では、私自身が医師面接に同席することが少なくありませんでした。

院長や採用担当と一緒に候補者と向き合い、必要な場面で私から候補者に質問を投げかける。回答の細部に違和感があれば、深掘りの質問で本質を引き出していく。「この先生、たぶん入職後に本性が出る」「この先生は条件ではなく理念で動ける人だ」——18年の現場経験を、その場で言葉に変えていく。これが私の仕事のひとつでした。

しかしこのやり方には、構造的な限界がありました。

物理的に、私は同時にひとつのクライアントとのミーティングにしか同席できません。ご支援先が増えれば増えるほど、「紀平が参加できる病院」と「参加できない病院」の差が生まれる。面接に同席できない病院では、面接の質は院長や採用担当などの個人の力量に委ねるしかなかった。

このスキルが解決したのは、まさにここです。

スキルがNotionに蓄積された貴院の情報を読み取り、候補者のキャリアと突き合わせた構造化面接シートを生成する。紀平が同席して投げかけるはずだった質問が、シートの上に並ぶ。紀平が回答から見抜くはずだった推察ポイントが、評価軸として可視化される。

もちろん、完全に同じとは申しません。AIに完璧を求めるのは、現時点では難しいです。

それでも、私が同席しなくても、同等の質問力・推察力——18年分の現場経験に裏打ちされた問いかけと、その回答から本質を読み取る視点——を引き出せるようになった。

紀平が同席している病院だけが、構造化面接の体系の恩恵を受ける。

ここから、ようやく抜け出せる目処が立ちました。

ただし、AIだけでは「医師は採れない」

ここまで読まれて「AIに任せれば医師採用が解決するのか」と思われたなら、それは違います。

このスキルが動くのは、「欲しい医師像が言葉になっている」ときだけです。

そして、その言語化作業——PSRヒアリング、採用ブランディングワークショップ——は、AIには代行できません。院長、事務長ら経営者と私が直接対話を重ね、半年〜1年かけて積み上げていく仕事です。

AIを使いこなすために一番大事なのは、技術への詳しさではなく、自分の病院の答えを持っていることです。「うちの病院の理念は何か」「どんな医師に来てほしいか」「どんな医師には来てほしくないか」——この答えを持っている経営者は、AIを劇的に活用できます。

逆にここが曖昧なまま「AIで採用を効率化したい」と考えても、出てくるのは形だけの面接シートです。
エージェントが提出してくる「ありきたりな」面接シートと何ら変わりはありません。

Claude活用ノウハウ——K2Brainsの第2の柱

医師採用家®が18年で築いた現場経験と、Claudeの推論能力。

この掛け算で何が起きるかを、私はずっと考えてきました。

医師採用LPのモックデザイン制作ホームページリニューアルGA4の自動レポート。これらは、Claudeを使った「業務効率化の事例」です。

しかし今回の構造化面接スキルは、それとは少し意味合いが違います。18年分の現場での問いかけと推察を、AIが引き継ぐ——これは、医師採用コンサルの拡張性そのものを変える試みです。
私は、このスキルをさらに発展させ、最終的には面接ロボットのような新しいデバイスを開発したい、と本気で考えています。

属人的なノウハウから、再現可能な仕組みへ。

紹介会社頼みの医師採用から、自院主体の医師採用へ。

その変化を加速させるための仕組みを、医師採用参謀® 紀平浩幸 はこれからも医療現場と一緒に作り続けます。

貴院の医師採用、属人化していませんか?

最後にひとつ、問いかけさせてください。

貴院では、「欲しい医師像」が言葉になっていますか?

理事長、院長、事務長で、その答えは一致していますか?

ここが整っていない病院ほど、エージェントの「口説き」に乗せられた採用で失敗を繰り返します。逆にここが整っている病院は、着実に良い医師が集まってきています。

私の役割は、貴院の答えを一緒に言葉にすることです。そして、その言葉をClaudeに教え込み、貴院の採用を「再現可能な仕組み」に変えていくことです。

もし「うちの医師面接、属人化しているかもしれない」とお感じになったら、ぜひ一度、無料オンライン相談でお話を聞かせてください。
この構造化面接の体系が、貴院の医師採用でどう機能しうるか、60分でお伝えします。

この記事を書いた人

医師採用家® 紀平浩幸
株式会社ケイツーブレインズ 代表取締役

18年間の病院人事経験を持ち、延べ2,000人以上の医師・医学生と面談し約400人の常勤医師を自力採用。
全国50の医療機関で、医師採用を「自立化」し「経営の強み」に変える、日本で唯一の医師採用コンサルタント。

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