
※この記事は自社サイトの話ですが、同じ仕組みは医師採用LP(ランディングページ)にも使えます。採用ページを作ったものの反応が分からない、という病院経営者・採用担当者の方の参考になればと思い、まとめます。
以前、Claude Code(AIコーディングツール)を使って、GA4(Google Analytics 4)のアクセス解析データを毎朝8時に自動で受け取る仕組みを作った話を書きました。あれから5か月、毎朝欠かさず届いています。
ところが、しばらく運用していて困ったことが出てきました。届いてはいるのに、読み飛ばしている日があるのです。
「Googleアナリティクスの画面を開いても、どう読めばいいか分からない」という声はよく聞きます。私も同じでした。しかし今回作り直してみて、問題は読み方ではなく見せ方にあったと気づきました。取得しているデータは一つも変えていません。変えたのは届き方だけです。それだけで、まるで別物になりました。
同じようにホームページの運用でお困りの病院経営者・採用担当者の方の参考になればと思い、まとめます。
数字が並んでいても、読めていなかった
最初に作った仕組みは、Chatworkにテキストで届くものでした。たとえば「曜日×時間帯のアクセス数」は、こういう形です。
■ 時間帯別アクセス(曜日×時間帯)
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 ...
日 1 1 2 4 2 2 6 1 0 0 0 0 1
月 3 0 1 2 3 2 0 1 2 0 1 3 2
火 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
水 0 1 0 0 0 1 2 0 2 2 0 1 6
...
データとしては正確です。24列×7行、すべての数字が入っています。ただ、これを見て「水曜の15時台が一番多い」と気づけるでしょうか。私は気づけませんでした。数字を目で追い、大きいものを探し、行と列を照合する。この作業を毎朝続けるのは、正直しんどいものです。
流入元の表示も同じでした。
■ 流入元別セッション数
・Organic Search: 150
・Direct: 58
・Organic Social: 10
・Referral: 2
「Organic Search」が何を指すのか、毎回思い出す必要があります。数字の大小も、頭の中で比率に変換しないと実感が湧きません。届いてはいるけれど、読むのに気力が要る。そういう状態が続いていました。
HTMLメールにしたら、考える前に分かるようになった
そこで、テキストではなくHTMLメールで届くように作り直しました。
同じ「曜日×時間帯」のデータが、赤の濃淡で表示されます。濃いところがアクセスの多い時間帯です。そして、その下に文章で要約が付きます。

1位 日曜10時台(7件)/2位 水曜15時台(7件)/3位 水曜12時台(6件)
平日は11時台・12時台・16時台、休日は8〜10時台にアクセスが集まっています。
数字を目で追う作業がなくなりました。色の濃いところを見ればいい。しかも「平日と休日で傾向が違う」という解釈まで、勝手に書いてあります。
流入元も、日本語のラベルと横棒グラフになりました。「検索(自然)135」「直接アクセス 56」「SNS 26」。バーの長さで比率が体感できるので、検索が圧倒的でSNSはまだ細いということが、数字を読む前に伝わってきます。

いちばん効いたのは、問い合わせまでの導線
作り直して最も価値が上がったのは、ファネル分析の部分でした。トップページに来た人が、どこを経由して問い合わせに至るのかを追う機能です。
テキストのときの表示は、こうです。
■ ファネル分析
トップページ(/): 218 セッション(遷移率 100.0%)
サービスページ(/service/): 17 セッション(遷移率 7.8%)
お問い合わせ(/contact-form/): 9 セッション(遷移率 52.9%)
オンライン無料相談: 9 セッション(遷移率 100.0%)
→ 全体通過率: 4.13%
正確ではあります。しかし「で、どこが問題なのか」が読み取りにくい。
HTMLにすると、218 → 17 → 9 → 9 という数字がカードで横に並びます。どこで人が落ちているのかが、形で分かるようになりました。

トップページに218人来て、サービスページまで進むのは17人。ここで9割が離脱しています。一方、サービスページまで来た人は、その後かなりの割合で問い合わせに到達している。つまり、サービスページへの導線が弱いという結論が、見た瞬間に出るわけです。
数字は最初から同じでした。テキストのときも218と17は書いてありました。そこから「9割が落ちている」と読み取るには、頭の中で割り算をする必要があったのです。
行動パターンの比較も効くようになりました。
| パターン | 流れ | 通過率 |
|---|---|---|
| A:即決型 | トップ → いきなり無料相談 | 7.4% |
| B:検討型 | トップ → サービスページ → 無料相談 | 29.6% → 25.0% |
いきなり申し込む人は少なく、サービス内容をきちんと読んだ人のほうが問い合わせに至る確率が高い。だとすればサービスページを充実させることに意味がある、という判断ができます。テキストで数字だけ並んでいたときは、この比較まで頭が回りませんでした。
ついでに、本の順位も同じ画面に
今回、もう一つ足したものがあります。2026年8月に出版した拙著『医師が集まる病院の作り方』のAmazonランキングです。3時間おきに順位を記録し、折れ線グラフにして同じメールに載せました。

なぜアクセス解析に混ぜたのか。別々に見ていても、何が起きているか分からないからです。
書籍ページに人が来たのに順位が動かないなら、見られたが買われていないということです。ページには来ていないのに順位が上がったなら、別のルートから買われている。両方が同時に動いたなら、何かが効いたことになります。三つ目が分かると、次に打つ手が決まります。
バラバラに測っていたものを一つの画面に並べる。それだけで、原因と結果が線でつながるようになりました。
Claude CodeでGA4レポートを作るときの実際
技術的な詳細は前回の記事に譲りますが、今回の作り直しでやったことだけ簡単に書いておきます。
作業はClaude Codeへの指示だけです。実際に届いているHTMLメールのソースを見せて、「このデザインに合わせて新しいセクションを追加して」と伝える。出てきたものを確認し、違えば指摘する。この繰り返しでした。プログラムは1行も書いていません。GA4のAPIから取ったデータをどうHTMLに変換するかも、既存のコードを読んで判断してくれます。
ここに、落とし穴がありました。
AIに任せきりにはできない
前回の記事では「Claude Codeで自動化できました」と書きました。実際、驚くほど速く形になります。それは今も変わりません。
それでも今回の作り直しでは、何度もやり直しをしています。原因ははっきりしていました。AIが、実物を見ずに書いていました。
「既存のデザインに合わせました」と言ってくるので確認したところ、実際に届いているメールとは構造がまったく違っていました。「変更するのは1ファイルだけ」と言っていたものが、コードを読ませたら7ファイル必要だったこともあります。そのたびに「本当に確認したのか」と問い、実物を見せました。すると、そこから先は正確になります。
AIは、見ていないものを推測で埋めます。しかも自信を持って書いてくる。だから「実物を見せる」「確認させる」という手間が要ります。逆に言えば、その手間さえかければ精度は一気に上がります。
これは医師採用にも通じる話だと思っています。紹介会社から届いた経歴書だけで判断するのか、実際に会って話を聞くのか。伝聞と実地の差は、どの分野でも同じように出ます。
サイトは「作って終わり」にした瞬間、コストになる
ここまで技術的な話をしてきましたが、お伝えしたいのは一点です。ホームページは、作った後にどう使うかで価値が決まります。
多くの病院が、採用ページを作るところまでは頑張ります。デザインに費用をかけ、写真を撮り、文章を練る。そして公開したところで止まってしまう。
そのページを何人の医師が見たのか。どこで読むのをやめたのか。どんな検索語で辿り着いたのか。見た人のうち何人が問い合わせたのか。これらを測っていなければ、「反応がない」という結果だけが残ります。なぜ反応がないのか分からないので、改善のしようがありません。
逆に、測る仕組みがあれば手は具体的になります。ページは見られているのに問い合わせがないなら、内容の問題です。そもそも見られていないなら、届け方の問題です。原因が違えば、対策も違います。
この仕組みは、クライアントにも提供しています
ここまで自社サイトの話をしてきましたが、同じ仕組みはコンサルティングでも使っています。
弊社の医師採用コンサルティングでは、採用ランディングページの設計書、つまりモックデザインとワイヤーフレームの提出までを標準の範囲としています。どんな医師に来てほしいのか、何を伝えるのか、どういう順序で読ませるのか。これを言語化して設計図に落とすところが、私の本来の仕事です。
しかし設計書をお渡ししただけでは、公開した後にどう使われているかが分かりません。そこで、実装までを弊社でお請けする場合には、今回ご紹介したアクセスレポートをセットでお付けしています(実装は別途お見積りとなります)。
毎朝8時に指定のアドレスへ自動で届き、ヒートマップやファネル、流入元がグラフで見える。数字の羅列ではなく、見た瞬間に判断できる形です。詳細データはExcelで添付されます。
以前なら、この程度の仕組みでも開発費用がそれなりにかかりました。生成AIを使えば低コストで構築できます。だからこそ「作って終わり」ではなく「作った後を測るところまで」を含められるようになりました。採用ページを作ったが反応が分からない、という状態を作らないためです。
続けられる形にすることが、いちばん難しい
今回やったことは単純です。見たいデータを、毎朝、勝手に、見た瞬間に分かる形で届くようにする。それだけです。
「毎日確認しよう」と決意するのではなく、勝手に届く状態にすること。そして数字の羅列ではなく、色や形で判断できる状態にすること。この二つで、続けるためのハードルは大きく下がります。前回の記事から5か月、途切れずに続いているのが、その証拠だと思っています。
ご自身の病院のホームページやアクセス解析について、ご不明点や「こういうデータを見たい」というご要望があれば、お気軽にご相談ください。医師採用ランディングページの設計から実装、公開後の計測まで、ご状況に応じてご提案します。
紀平 浩幸(きひら ひろゆき) 株式会社ケイツーブレインズ 代表取締役/医師採用家®
18年間の病院人事経験を持ち、延べ2,000人以上の医師・医学生と面談し400人の常勤医師を自力採用。全国50の医療機関で、医師採用を「自立化」し「経営の強み」に変える、日本で唯一の医師採用コンサルタント。